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カテゴリ:【童話】カラスの王様( 21 )

6月28日  隠語?

洋服を買ったら、こんな『タグ』がついていました。
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『ATTENTION』とあるから、「注意したまえ」と言うのだろうか。

カッコつけて、アテーションプリーズと昔のテレビドラマみたいな始まりのタグ。

新品の物は一応読みますよね。

だけど、今回のこの文章・・・・全く意味が分からないのですが?

「ファッション性を重視している」ってことは分かりますよ。

次の『杢調カラー』って何?

・・・モクチョウって読むのはわかるけど・・・家具色?

私が知らないだけなのでしょうか?それともアパレル業界用語?隠語?

そこまでは、実際に製品を手にしているのだから・・・「杢調カラーってこんな色なのね」と勝手に想像しましたが。

次がもっと分からない。『ネップ』ってなんでしょう?

『ネップが見られることがある』のだから、あんまりいい現象じゃなさそうです。

色ムラでしょうか?糸ヨレ?ヒキツリ…色々想像してしまいましたよ。

消費者に理解できないタグって意味があるのでしょうか?

そして、最後に『この下札は大切に保管して下さい」ってありますが・・・ムリっ!

商品から外してしまうのに、この下札(タグ)だけ取っておいてもどの洋服の分だか分からなくなっちゃうのが落ちです。

どういう考えでつけているのでしょう?

なんだか、どれも分からない用語だらけ。隠語の羅列だし、業界側の考えだけ押付けてる感じです。

大体、『下札』って・・・読めない!

『下げ札』って書いてよ。・・・サゲフダでしょう?

あたしゃ、アパレル業界の業界人じゃないんだからぁ~


  ※そうそう、JRの隠語で・・・
    「線路に人が立ち入りました」と言ったら酔っぱらいが落っこちたとか自殺志願者やじゃないそうです。
    これは、「痴漢」のことなんですって。
    隠語って奥深い(?)ですねぇ。
    あたしゃ、鉄道業界人でもありません。

by keshi-gomu | 2012-06-28 00:02 | 【童話】カラスの王様

6月27日  『はつ恋』・・・言葉はいつも心を表しているとは限らない

『はつ恋』・・・そう来ましたか・・・

展開が面白い。

スーパードクター恋人三島、伊原剛志が、懺悔にも似た16年前の自分の心を打ち明けた。

ドリ、木村佳乃もその時の自分の心を打ち明けようとする。

だが、心の底奥深くにある一部分を隠して・・・つい夫への感謝を口にしてしまう。

夫への気持ち、子供と3人の幸せを守りたい気持ちも嘘ではないのだろう。

しかし、そうは思いつつも三島の所に出向いてしまう緑。

離れるのが辛い緑の気持ちとその口から出る自分の言葉とのギャップ。

それを見ていて、涙する緑を救いたいがために、三島は別れることを決意する。


2人がバスを待つ背景の海辺も、語り合う山間のレストランも、すべて日本そのものの現実なのに・・・

恋する気持ちがパリの田舎を思わせるほどに美しく輝いていた。

こんな演出も・・・やってくれますねぇ・・・・・



携帯でも・・・

「出会った日から 君を想わなかった日は 1日もない。 さよなら 三島」

とメールを送ってくれた三島に対し、携帯を握りしめ振り切るのが辛い緑の思いなのに・・・

返した言葉は・・・

「ありがとう さよなら ドリ」

文字にすると冷たいよね、強い心の女性に見えるよね。

発してしまった言葉、書いた文字は現象として力強く前進してしまう。

本当の心は、裏腹なのに。強い思いを押し消しているのに・・・

ああ、過去の自分の思い出も重なって・・・・泣けてしまった私だった。




大竹まことの失語症患者は物語の伏線である。

今回は「言葉・・ダメだね。言葉・・ダメかね」とつないでる。

なんだか、ニクイ構成じゃないか。

再開から1年が経ち、今度は三島が失語症患者として緑の前に現れた。

・・・・そう来ましたか・・・・



昔の映画、『心の旅路』(この映画では恋人は記憶喪失だった)のような流れになってきた。

大人のドラマを得た気がして、今ちょっと嬉しいMIKANである。
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by keshi-gomu | 2012-06-27 21:58 | 【童話】カラスの王様

12月25日  【童話】カラスの王様 19

カラスの王様は体力が消耗していた。
昨日から何も食べていない体は風圧に負けそうになるほど弱っている。
それでも力の限りを振り絞って、懸命に飛んでいた王様だった。
「急がなくちゃ」
「急がなくちゃ、間に合わない」
脇目も振らずに一直線に飛んでいた。



いつもの交差点にやって来た。

信号機の上では、海鳥たちが羽を休めている。
ぴったりと寄り添うでもなく、とは言え、それぞれが孤立して見えるほどは間隔は開けずに、整然と信号機の上に並んでいた。

いつものベイタウンの朝だった。


信号機の上の1羽の海鳥が、彼を見つけて叫んだ。
「またカラスの王様がやってきたよ」

カラスの王様は、いつものように彼らの所へやってきて。
いつもと違う言葉をかけた。
「この隅に、止まらせてもらってもいいかい?」

海鳥たちは驚いた。
王様が、僕らをどかそうとしない。
思わず全員が、間隔を少しずつ詰め合ってしまった。
電車の座席に後から乗ってきた人を1人詰めて座らせる・・・そんなシーンを連想させるかのように。

大きな烏1羽と小さな海鳥たちが信号機の上に並んでる。
滅多にお目にかかれない光景かもしれない。

海鳥が尋ねた。
「そう言えば、カラスの王様。あなたは毎日決まってこの時間にここにいるのね」
彼は答える。
「君たちだって同じじゃないの。いつも皆でここにいるよね、楽しそうに」

「いいや、僕たちは暖かい天気のいい日にしかいないもの」
「そうそう。あなたは、雨でも風の日でも、いつも決まってここにいる」
「王様、どうしてあなたはこの時間にここにいるの?」

カラスの王様はこう言った。
「今日と同じだよ。朝飯をたらふく食べてここで一服しているのさ」



始めて人間の街にやって来た日から。
カラスの王様は、1日たりともこの場所に来るのを欠かしたことはない。
いつもきまった朝のこの時間。
いつもきまったこの信号機の上に。
そして、ここから下を眺めるのが毎日の日課だった。

今日も子供たちがワイワイと通学をしていく。
『間に合った』
『この時間にここにいなくちゃいけないんだ』


カラスの王様は待っている。
子供たちを見つめながら待っている。
今日こそと。
あの声が聞こえてくるのを待っている。

「あっ、キューちゃんだ!」
「キューちゃん、ここにいたんだね。探したんだよ」
「一緒におうちに帰ろうね」


カラスの王様は、小さな声でつぶやいた。

「おはよう」



                 【おわり】
        ★☆★☆メリークリスマス☆★☆★
       ☆☆読んでくださりありがとうございます☆☆
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by keshi-gomu | 2011-12-25 18:00 | 【童話】カラスの王様

12月25日  【童話】カラスの王様 18

「うっ、眩しい」
閃光が走った。
一瞬瞼の裏が真っ赤になった衝撃で、カラスの王様は意識を取り戻した。

恐る恐る目を開いてみた。

そこには、朝が訪れていた。
目の前には、朝日が・・・。

あぁ・・・、
朝日が・・・・・、沈んでいく。

王様は、状況が変わっていないことを改めて知らされ深い絶望感を感じた。


「烏さん、何をため息ついているのですか」
上の方から声がした。

見れば、自分の足元に海鳥たちがいる。
「何をしているんだ?」
彼は、海鳥たちに尋ねた。
「何をしているかって?そりゃ、僕たちのセリフですよ」
「どうしてこんな格好で挟まっちゃったんですか」
そりゃ、三角チーズが欲しくって・・・とは言えない王様だった。

海鳥は続けた。
「今、海辺を飛んでいたら、烏さんのその姿が目に入ったんです」
「これは大変だ。助け出さなくちゃって」
「僕たちは、あなたを助けに来たんです」
それは、十数羽の青年鳥たちだった。
純粋な目をして、心からカラスの王様を心配していた。
「みんなで網をこじ開けますから、烏さん、あなたは足を引き抜いてください」
クチバシをこじ入れる者、網を精一杯引きちぎろうとする者。
皆懸命に王様を助けようとしていた。

小一時間かけて網と格闘をしているうちに、王様の足が少し動くようになってきた。
「あ、足が動かせそうだよ」
「みんな、もうひと踏ん張りだ」
「それっ」
海鳥たちが一斉に力を込めて網を引っ張ると、王様はするりと抜け出ることができた。

「ありがとう」
カラスの王様は、海鳥たちに心の底から感謝をしていた。
そして、皆が自分のために力を合わせてくれたその心が嬉しかった。
海鳥たちも自分たちの連帯感と達成感に感動していた。
今、カラスの王様と海鳥たちは、確実に仲間だった。

いつものように、朝日が高く昇って行くのが見えた。

王様はそれを見て言った。
「あ、こんな時間か?行かなくちゃ」
海鳥たちは驚いて言葉を返した。
「烏さん、今あなたは自由になったばかりじゃないですか」
「少し休んでいったらどうですか?」
「そうですよ。一晩中挟まっていたんだもの、体が疲れているだろうし」
「さっき、我々が捕った魚があっちに置いてあるんです」
「一緒に朝ご飯にしましょうよ」

お腹がペコペコな王様にとって、それはとても嬉しい誘いだった。
「ありがとう」
「でも、僕は行かなきゃならないんだ」
「今度また誘ってくれるかい?一緒に食事をしようね」
そう海鳥たちに告げると、カラスの王様は勢いよく飛び立った。

明るくなった海の上を飛びながらブツブツとつぶやいていた。
「急がなくちゃ」
「急がなくちゃ、間に合わない」

                   【つづく】・・・・今日はゴミの日か?

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by keshi-gomu | 2011-12-25 06:08 | 【童話】カラスの王様

12月24日  【童話】カラスの王様 17

夕日が昇っていく。
赤塚富士夫のギャグ漫画のようだが、逆さ吊りにされたカラスの王様には実際に目の前の光景だった。

「美しすぎて、涙が出るぞ」

そう言いつつ自分の姿を見ながら思わず苦笑いをした。
「マンションのベランダに吊り下げられている『烏の人形』みたいじゃないか」
烏に似せた黒い塊やら、目玉だけのお化けやら。
そう言えば人間は烏除けの人形をたくさん考案してきた。

畑の真ん中の案山子の肩に、人間だと思い込んで恐る恐る止まったのは誰だったっけ?
あの純粋だったカラスの王様も立派に成長(?)したものだ。
人間の作った『烏の人形』が分かるようになったとは。

何度となく目にしてきた夕焼けが、今日はやけに目に染みる。
この輝きが暫くすると暗い闇に吸い込まれることも王様は既に知っていた。
夜が来る前に。
もう一度、網から抜け出そうともがいてみた。
だが力を入れるたびさらに網が締まってくるような、ただそんな気がしただけだった。

あんなに暖かな午後だったのに。
夜は打って変わって冷たい空気が辺りを支配する。
王様は、吊り下げられたまま幾時間もただそこにいるしかなかった。

体力が奪われていく。
だんだん意識まで薄れていく。
「このまま僕は『烏の人形』になるんだろうか」

貨車に乗って走ったって。
ビルにぶつかり落下したって。
野良猫と死闘を演じたって、不死身だった王様じゃないか。
弱気になってどうするんだ・・・

街にはクリスマスソングが流れていた。

今日はまさにクリスマスイブ。
彼にはそんなことは知る由もなかったが、風に乗ってこの海辺にも届いてきた懐かしい音を聞くともなしに聞いていた。
その音がBGMのように、カラスの王様を眠りに誘う。
いつの間にかウトウトとし始めた。
眠りに落ちるその意識の片隅で、どこからか自分を呼ぶ声が聞こえたような気がした。

「キューちゃん、どうしたの?」
懐かしい声だった。
あの楽しかった日々の思い出が無数にフラッシュバックされてきた。

「翔・・・」

次第に冷たくなってきた『カラスの王様』の黒い翼に、白いものが舞い降りる。
今夜はホワイトクリスマスか・・・

                    【つづく】・・・I'm dreaming of a White Christmas
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by keshi-gomu | 2011-12-24 20:00 | 【童話】カラスの王様

12月23日  【童話】カラスの王様 16

松林にいた海鳥たちは、いつものように信号機の上に陣取った『カラスの王様』を眺めながら話を続けた。

「不思議だと思わないか?」
「烏たちはゴミをあさってはいるけど、もっと上手に食べているよね」
「そう言えばよく人間に追い掛け回されているのは、カラスの王様だけだわ」
「楽しんでいるのかな」
「いや、カラスの王様は『人間なんて大嫌いだ』って言っていたよ」
「僕なんか『カラスの王様なんて大嫌いだ』って言いたいけどぉ」
「他の烏たちみたいに、グループにも入らないね」
「理不尽だってまかり通ると思ってる『王様』だもの。皆と一緒には行動しないさ」
「皆と一緒って、こんなに楽しいのにね」

オジサンのゴミ袋から”いただいた”戦利品のフライドチキンモーニングを食べ終え、
カラスの王様は信号機の上で上機嫌だった。
凱旋兵士よろしく、一声『カー』と勝利の雄たけびを挙げた。

遠く眺めれば、今年もイルミネーションが街を飾っている。
あれから何度目のクリスマスを迎えるのだろうか。


「今日は天気もいいし、久々に海辺へ行ってみようかな」

彼は太陽の暖かい昼下がりに、海を眺めるのが好きだった。
青い海に光がキラキラと反射して、時がゆっくりと流れる不思議な世界に包まれた。

海辺といっても、ベイタウンの海辺である。
海に面した工場地帯の半ば機能的に作られた人工の海辺だ。
辺に置かれた重機の物々しさ。
数々の資材が積み上げられたコンクリートの世界である。
それでも、そこはカラスの王様の別天地だった。

こうやって海の上を飛びまわる心地よさは、爽快感そのものだ。
鳥として生まれた幸せすら感じていた。

「あ、あそこに銀色包み紙のチーズが落ちているぞ」
海に突き出た資材置き場の網の下に、確かに光る何かが落ちている。
本当にあの有名な三角形おつまみチーズか?
どうも、王様の弱点は昔から食い意地が張っていることらしい。

旋回をしたかと思ったら、突然急降下。
目的地の網の上に飛び乗ったカラスの王様は、光るものの品定めを始めた。

資材保護にかける網が、無造作に塀に投げかけられていた。
その網の塊の下の下の方に、光る何かは存在している。
「ん~、よく見えないな」
くちばしを突っ込んでみたが、到底届くわけがない。
網に足を踏ん張りながら、自分の体を横にしたり、逆さになったり。
こと食べることとなると熱心な王様である。

逆さまになると光るものに近づける感じだ。
くちばしを伸ばして・・・
「あっ」
しまった、足が網の間に挟まってしまった。
「う、動きが取れない」
中刷りになった王様はもがいてみるが、もがけばもがくほど網の間に足が食い込んでいく。

ここは海に面した資材置き場。
品物がないこの日、あの大嫌いな人間すらやってこない場所だった。

                      【つづく】・・・がんばれ。
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by keshi-gomu | 2011-12-23 12:10 | 【童話】カラスの王様

12月22日  【童話】カラスの王様 15

ふとあたりを見渡すと、あちらこちらに木々がちらほら見える。
人間の家々にも林ほどではないが、木々があることに王様は気がついた。
数件先には、何か実がなっている木まである。
「あ、柿の木があるじゃないか」
今日の食事は、柿の実にすることに決めた。
彼がもし人間なら、レストランで注文を決めるその決断力の潔さに彼女も惚れ惚れすることだろうに。

葉を落とした裸の枝に、幾つか残された柿の実。
空気の澄んだ青空に映えて、赤いその実は冬のシーンを彩っていた。
だがその柿の実たちは、不思議なほど歪な形をしている。
どれもこれも、果実の球形をとどめていないものばかりだった。

既に誰かによって食べつくされた実であることは王様にも分かった。
しかし今は、そんな贅沢は言っていられない。
彼は、その残った果肉を一口ついばんでみた。
「甘い実だ。これは美味しい」
「ここで腹いっぱい食べていこう」

二口目を食べようとしたその時だった。
人間の声がした。
「お前が、犯人だったのか。やっと見つけたぞ」
「朝から見張っていたとは思わなかったろう」
オジサンが言っている言葉は理解できなかったが、その怒りはヒシヒシと伝わってきた。
次の行動が予想できるような予感さえした。
予感的中だ。
またもやオジサンは棒で叩きつけようとしてくる。

王様は、もう一度『おはよう』作戦を実行してみた。
「おはよう」
唯一の観客に向かって心をこめて一声鳴いた。

オジサンの手が止まった。
持っていた棒を投げ捨て、なにやら緑の大きな物を持って来た。
「あ、言葉が通じたのかな」
「美味しいものをくれるのかな」
王様の期待を裏切って、オジサンはその緑色の網を彼に向かって投げかけた。
カラスの王様は驚いて飛び逃げた。

逃げながら、心に硬く硬く誓っていた。
「もう決して人間に向かって『おはよう』とは鳴かないんだ」

そして、いつの間にか人間が嫌いになっていた。
僕を見るだけで叩こうとする人間。
僕を捕まえようとする人間。
「人間って、怖い動物なんだな」

烏を鳥逃がしたオジサンは1人呟いていた。
「惜しかったぁ、逃げられたよ」
「九官鳥みたいだったな」
「話が出来る烏か。捕まえたかったなぁ」

でも、オジサン。
流石に柿の木に網を投げたって烏が捕まるわけはない。
漁の投網じゃないんだから。

              【つづく】・・・一声鳴いては旅から旅へ?
                チナミニ、「烏を鳥逃がす」は親父ギャグです。
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by keshi-gomu | 2011-12-22 20:12 | 【童話】カラスの王様

12月22日  【童話】カラスの王様 14

美しい朝焼けだ。
家々の屋根や背の高いビルの先に海が見える。
青い海が朝日に照らされ、昨夜のイルミネーションよりキラキラと輝いている。
カラスの王様は、人間の街にやって来て初めてゆっくりと昇る朝日を眺めていた。

「さて、これからどうしたものか」
太陽を見つめて考えていた。
「そうだ、あの林に行ってみよう」
「僕の目指していたあの林に」
長時間飛び続けることのできない今の彼にとっては、果てしのない道のりになりそうだが。
あの太陽を見ていると、勇気と希望しか涌いてこない朝だった。

「そう決めたら、先ずは腹ごしらえだな」
一晩泊めてもらったこの家で朝食も済ませていくことにした。
朝食付きのホテルなら『朝はバイキング食べ放題』が相場なのだが、どうやらここには用意されていそうもない。

虫でも捕まえようと大きな庭木に移ってみた。
だがこの冬の時期、流石に虫も引きこもり生活のようだ。
虫たちは一匹たりとも姿を見せていなかった。


突然、雨戸が開けられた。
住人が起きてきたのである。
こんなに早い時間に起きてきたのは、この家のお爺さんだった。
日の出とともに起床する規則正しい生活の始まり。

おてんとう様を拝もうと窓を開ければ、今朝はなんとそこに烏がいるではないか。
「朝っぱらから烏がいるのか」
お爺さんは、突っ掛けで庭に下りてきては木の下からホウキの柄で王様を突っつき始めた。
カラスの王様は驚いて枝から枝に行ったり来たり。
「なんだ?なんだ?僕は何にもしていないよ」
「いるだけでいけないの?」

昔の人にとっては、烏は不吉の象徴である。
ましてや自分の家に烏がいると知ったお爺さんは、このまま居ついちゃ溜まらんと追い出しにかかったのだった。

「そうだ、僕は人間と会話のできる烏じゃないか」
この場を切り抜けるいいアイディアが浮かんだ。
「そうだよ、『おはよう』って鳴けば美味しい食べ物をくれるかもしれない」
そう思いついた王様はお爺さんに向けて、最高のパフォーマンスを披露してみた。
「おはよう」
今までで一番良い出来だったかもしれない一鳴きだった。

「なんだと?『あほー』などと鳴きよって。追い出してくれるわ」
さっきよりも一段と怒りが増したお爺さんは、ホウキを竹ぼうきに代えて振り回してきた。

王様は慌てて転げるように飛びながら、その家を後にした。
「人間は、僕がいるだけで怒っていたよ」
「こんなに上手く『おはよう』と言えたのに」
何がいけないのか理解できない王様は、人間に少し悲しい思いを抱いた。

カラスの王様は知らなかった。
お爺さんは耳が遠くて、よく聞き取れなかったと言うことを。
最高の出来栄えの『おはよう』を。

                 【つづく】・・・よ。
                    チナミニ、「突っ掛け」とはサンダルのことです。
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by keshi-gomu | 2011-12-22 06:08 | 【童話】カラスの王様

12月21日  【童話】カラスの王様 13

烏が鳥目だと誰が言ったのだろうか。
烏は夜だって、猫にも負けず劣らずよく目が見えるのだ。
だから暗闇を自在に飛ぶことだってできるのだ。

カラスの王様は、人間の夜の街を飛び回ってみようと思った。

いざ、離陸。
「あれ?飛び立てない」
王様は飛び方を忘れてしまったのかと嘆いた。
「ああ、しばらく怠けていたからなぁ」
再度、挑戦してみた。

しかし、どうも具合がおかしい。
大きな何かにぶつかって落下した時、体のどこかを痛めたのだろうか。
さっきのあいつとの格闘で翼が歪んでしまったのだろうか。

「飛行前の機体点検をしなくちゃな」

王様は自分の体を確認し始めた。
「足はちょっと痛いけど、こんなのは大丈夫だ」
大きく左右の翼を広げてみた。
「翼は、歪んでいないよ、オーケー」
「・・ん?・・あっ?ない!」
「誰だよ、僕の翼から4枚の羽を取ったのは!」

まるで乳歯が抜け落ちた子供の口元のように、ところどころの羽が切り落されていた。
勿論、犯人は田中家のパパである。

夜の国道を烏が歩く。
演歌の歌詞にもなりゃしない。

突然、カラスの王様のすぐ脇を猛スピードで通り過ぎる大きな動物がいた。
「ギャー、怖い」
人間の夜の街には、2つの光る目を持った恐ろしい速さで走る動物がいるんだ。
王様は何度も車に轢れそうになった。

夜の国道、渡り鳥。
烏が歩くにゃ、無理がある。
スリルという名の綱渡り。
(烏は渡り鳥かい?)

「もう少し、高いところに上ろう」
「あの家のてっぺんに上がろう」
飛べない王様は、鶏が飛び上がる方法で地道に上を目指した。
停めてあった自転車に飛び乗り、石塀に飛び上がり、庭木の枝に飛び移り、屋根の樋に到達した。
まるで泥棒が這い上がっているかのようだ。
ベランダの桟からクーラーの室外機に乗り移り、2階の屋根のてっぺんに辿り着いた。

そこからは、人間の街が見渡せた。
「きれいだなぁ、ピカピカと光っている」
夜の街は、いたるところイルミネーションで輝いていた。
季節はまさにクリスマス。
カラスの王様が初めて見る美しい景色だった。
「今夜は、ここで眠るとしよう」

街にはクリスマスソングが流れていた。
その音でかき消されるような小さな声が、夜の街に響いてきた。
カラスの王様には聞こえていた。

「キューちゃーん、どこにいるの?」
「キューちゃ~ん、帰っておいでよぉ~」

                             【つづく】・・・つづいてぇ。
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by keshi-gomu | 2011-12-21 20:00 | 【童話】カラスの王様

12月21日  【童話】カラスの王様 12

「これは凄いな」
荒らされた事務所を見渡して、パパが言った。

「キューちゃんがいない。キューちゃんがどこかへ行っちゃったよ」
翔は今にも泣きそうな面持ちで震えていた。

戦場の痕跡は、そこにいなかった者にもリアルに想像がつくものだった。
「この足跡は猫だな。猫の毛も飛び散っているし」
「キューちゃんは野良猫にやられたんだな」
「えっ?キューちゃん、猫に食べられちゃったの?」
「食べられてはいないよ」
「それでも傷ついているんでしょうね、キューちゃん」
「可哀相に」
ママがため息交じりで言った。

「帰ってくるよね。キューちゃん、帰ってくるよね。お家に」
祈るように繰り返す翔の言葉に、パパもママも胸が迫る想いでいた。

「夜になって、どうしているのかしら?夜、鳥は目が見えなくなるのよね」
「野犬に噛み付かれたらひとたまりもないよな」
「車に轢かれたりしてないかしら」
「そんなぁ。キューちゃんは大丈夫でしょ?飛べるんだもん。大丈夫だよね?」

「ん~」
パパは思わず、言葉を呑んでしまった。
今の翔に言えないことがあった。
実はパパは、キューちゃんの足の紐が解けてしまっても開け放たれた事務所の入り口から飛んで行けないようにと、キューちゃんの羽を数枚切り落していたのである。
翔に『今のキューちゃんは飛べないんだよ』とは言えなかった。
同時に、こう言う結末になるのだったらキューちゃんの羽を切るのではなかったと後悔もしていた。

「翔、探しに行こうか」
「そうね、夜、鳥は見えないんだもの。飛んで行ってないわよ。きっとまだ近くにいるわ」
そう言ってはみたものの。

パパもママも、見つかる可能性が少ないとは思っていた。
飼い犬なら、名前を呼べば向こうから走ってやってくる期待は出来る。
だが、野生の烏を1ヶ月ほどペットにして、どれだけ我々になついたものか。
映画のように、キューちゃんが我々を見つけて飛んで帰って来る・・とは、流石に期待は出来なかったのだ。
それでも、もしどこかで息絶えているのなら、抱えて帰ってやりたいと思った。

そんな大人の思いとは反して、翔の心は期待で膨らんだ。
「そうだね、迎えに行こう。キューちゃんはお家が分からなくて困っているんだよ」
「キューちゃんを探しに行こう。パパ、ママ。探しに行こう」

                                   【つづく】・・・・探しに、
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by keshi-gomu | 2011-12-21 06:08 | 【童話】カラスの王様