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4月10日 新入生

学校も新学期が始まっているようです。
小さな戦士たちも、雑踏の中でたくましく学校への旅を始めていました。

今朝の京浜東北線での出来事です。
東京駅でドアが開いたら、男の人の声がしました。
「この電車に乗ったら、鶴見まで行くからね」
少々大きなトーンで言い聞かせています。
混んだ車内の全員が、「何だろう?」と、声のする方に振り向きます。
その声の主は、背広を着たサラリーマン風の男の人でした。
自分の娘を電車に乗せて、ホームから声をかけたのです。
お父さんは会社に出かけるのでしょう。
閉まるドアの向こうで、電車に乗らずホームに残りました。
京浜東北線に乗ったのは、これから私立小学校に通うであろう制服姿も初々しい可愛い女の子でした。
カトリック系のマークの入った帽子に鞄も新品でした。
押されるがままに立ちすくむその女の子に、皆が神経を集中しているのがよく分る車内です。
潰されては可哀相だと、周りの大人はその子の周辺に微妙な空間を作り出しています。
一駅過ぎて有楽町に差し掛かると、座席が1つ空きました。
するとすかさず、その席の前に立っていた若い女性が、大きな声で女の子を呼びました。
そう、座らせてあげようと思ったのです。
「ここに座って、あそこの文字が『鶴見』になったら降りなさいね」
親切な女性です。
言われた通りにものも言わず座り込んだ女の子。
その女性も次の駅で降りてしまいましたが、きっとこんな風にして、車内の人々がバトンタッチでその子を鶴見まで送り届けるのだろうと思いました。
日本人は皆優しいものです。

いい風景だと、微笑ましくも思いましたが・・・・

同時にあのパパの知恵も凄いものだと感心させられました。
子供に言い聞かせているかのあの一言は、実は車内の人々へのメッセージでもあったのです。
「うちの子がこの混んだ電車に乗りますから、どうぞ鶴見まで無事着かせてやって下さい」
との。
パパ業も大変でありますね。
女の子が電車通学に慣れるまでの、毎朝の行事になるかもしれません。

新入生諸君、気をつけてね~
そしてパパにママ、頑張ってねぇ~
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by keshi-gomu | 2006-04-10 22:47 | 日本の車窓から