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8月22日 修善寺

熱海のホテルをチェックアウトする時、急にこのまま帰りたくなくなった。
「帰るのつまらないよねぇ」と私。
「いいよ、どこか行く?」と主人。
昨日書いたように、二人とも十分いい加減なものでその日になって次の行動を決めだした。
やぱりどこか古いらしい我々の選んだ図式は、「熱海⇒修善寺」と決定したのである。
そして、相変わらず図々しい主人は、修善寺の駅に着いてから、宿の予約の電話を入れていた。

熱海と比べると、また一段と静かな温泉街、修善寺。
桂川を挟んで数件の旅館が点在していた。
「ねぇねぇ、どこに泊まるの?」
どうも汚いホテルや旅館に泊まれない私は嫌な予感がしていた。
そして、その予感的中。
「ここにしたよ」
「え~ぇ」
着いた旅館(ホテルとは決して言えない)は、タイムスリップしたような古びた佇まいだった。
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「岡本綺堂が執筆した旅館にしたよ」と主人。
「岡本綺堂って?何書いたの?芸術は爆発だって本?」
「なわきゃないでしょ。修善寺物語とか・・」
「知らん!」
「半七捕り物帳とか・・」
「それなら知ってる」(・・って、TVだろ知ってるのは)
後から聞いた話では、有名なこの旅館はいつも予約でいっぱいで、急な電話で部屋が取れたのはラッキーだったと言う。
でも、そのせいか部屋を選ぶことは出来なかったが・・・
明治時代から創業していて、旅館全館が有形文化財にしていされているとかで、芥川龍之介やらの文人や広瀬長弘らの墨人も多数泊まってるらしい。
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《写真は広瀬長弘の画いた絵『武蔵野』である》
部屋からは桂川が見え、桂川から引き込んだ水で庭園全体が池のような状態になっていた。
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あるもの全てが昔のものだらけ・・・昔家で使っていた物が今も健在で使われているような、昔を切り取ったような旅館だった。
古い事は我慢しなきゃならない羽目になった。
お風呂に入って、「あっ」と驚く。
「来たことがあるわ、私。」
お風呂の作りをみて子供の頃何度か来たことがあったのを思い出した。
他は全然覚えていないのに、変わった記憶の蘇りである。
《今日のお風呂は写真に写せませんでしたので・・・》

料理は1時間半かかっての懐石料理。
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美味しい味で、目で味わっても頂きました。
ところが、懐石と言うのは食べ終わった時点ではいいんだが。
夜更けにお腹が空いてしまったのだ。
ロビーでインターネットをしてきた帰りに
「何か甘いものが食べたいんだけど・・・」と
フロントのおじさんに無理を言った。
「幸四郎と言うお菓子なら」と勧められたお菓子を買い込み部屋に戻る。
おじさんからは歌舞伎役者から名前をもらったと言う話をおまけに聞かされ、商売上手だと思わず感心する。
そして今日もまた食べすぎか・・・

おまけの写真。
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日枝神社の『子宝の杉』。
「この間の空間に、私がひっかっかてしまったらどうしよう~」
そうビクビクしながら抜けてみた。
ありゃりゃ、今からご利益があったらどうするの?
ま、いいか、めでたいことはいっぱいあってもいいもんね。

こうして、熱海⇒修善寺の珍道中は幕を下ろしたのであった。
めでたし、めでたし。

by keshi-gomu | 2005-08-24 19:25 | 日本の車窓から