12月25日  【童話】カラスの王様 18

「うっ、眩しい」
閃光が走った。
一瞬瞼の裏が真っ赤になった衝撃で、カラスの王様は意識を取り戻した。

恐る恐る目を開いてみた。

そこには、朝が訪れていた。
目の前には、朝日が・・・。

あぁ・・・、
朝日が・・・・・、沈んでいく。

王様は、状況が変わっていないことを改めて知らされ深い絶望感を感じた。


「烏さん、何をため息ついているのですか」
上の方から声がした。

見れば、自分の足元に海鳥たちがいる。
「何をしているんだ?」
彼は、海鳥たちに尋ねた。
「何をしているかって?そりゃ、僕たちのセリフですよ」
「どうしてこんな格好で挟まっちゃったんですか」
そりゃ、三角チーズが欲しくって・・・とは言えない王様だった。

海鳥は続けた。
「今、海辺を飛んでいたら、烏さんのその姿が目に入ったんです」
「これは大変だ。助け出さなくちゃって」
「僕たちは、あなたを助けに来たんです」
それは、十数羽の青年鳥たちだった。
純粋な目をして、心からカラスの王様を心配していた。
「みんなで網をこじ開けますから、烏さん、あなたは足を引き抜いてください」
クチバシをこじ入れる者、網を精一杯引きちぎろうとする者。
皆懸命に王様を助けようとしていた。

小一時間かけて網と格闘をしているうちに、王様の足が少し動くようになってきた。
「あ、足が動かせそうだよ」
「みんな、もうひと踏ん張りだ」
「それっ」
海鳥たちが一斉に力を込めて網を引っ張ると、王様はするりと抜け出ることができた。

「ありがとう」
カラスの王様は、海鳥たちに心の底から感謝をしていた。
そして、皆が自分のために力を合わせてくれたその心が嬉しかった。
海鳥たちも自分たちの連帯感と達成感に感動していた。
今、カラスの王様と海鳥たちは、確実に仲間だった。

いつものように、朝日が高く昇って行くのが見えた。

王様はそれを見て言った。
「あ、こんな時間か?行かなくちゃ」
海鳥たちは驚いて言葉を返した。
「烏さん、今あなたは自由になったばかりじゃないですか」
「少し休んでいったらどうですか?」
「そうですよ。一晩中挟まっていたんだもの、体が疲れているだろうし」
「さっき、我々が捕った魚があっちに置いてあるんです」
「一緒に朝ご飯にしましょうよ」

お腹がペコペコな王様にとって、それはとても嬉しい誘いだった。
「ありがとう」
「でも、僕は行かなきゃならないんだ」
「今度また誘ってくれるかい?一緒に食事をしようね」
そう海鳥たちに告げると、カラスの王様は勢いよく飛び立った。

明るくなった海の上を飛びながらブツブツとつぶやいていた。
「急がなくちゃ」
「急がなくちゃ、間に合わない」

                   【つづく】・・・・今日はゴミの日か?

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by keshi-gomu | 2011-12-25 06:08 | 【童話】カラスの王様